八重山とウミガメ

悠久を泳ぐ海の旅人

星明りの砂浜劇

命を紡ぐ潮風の絆

八重山の透き通った海を悠然と泳ぐウミガメ――。
その姿はまるで、悠久の時を紡ぐ生きた化石のようです。アオウミガメやアカウミガメは、沖縄本島以南の南西諸島に産卵のため来遊し、中でも八重山諸島の砂浜は重要な産卵地とされています。満月の夜、静寂に包まれた砂浜にそっと上陸し、生まれたばかりの子ガメたちは星明りを頼りに大海原へ旅立ちます。

季節が巡るごとに繰り返されるこの営みは、島の自然の豊かさを象徴する神秘のドラマ。ウミガメが産卵や採餌に訪れるマングローブ林や藻場は、サンゴ礁とともに健全な海洋環境を支え、島の大地へと恵みを還します。夜空に満天の星を仰ぎながら、未来へとつながる小さな命の行進を想い、その軌跡に八重山の息吹を感じてみてください。